障害者グループホームは儲かる?利益率とビジネスモデル

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障害者グループホームは、障害のある方に住居を提供し、相談や日常生活上の支援を行う「共同生活援助」です。

障害福祉サービス等報酬を受ける仕組みですが、実際の収入と利益は、利用者数、人員配置、建物費、サービス類型、報酬の算定状況などによって変わります。

この記事では、障害者グループホームは儲かるのかという疑問に答えながら、利益率の見方とビジネスモデル、収支を確認する方法を解説します。

※制度や報酬に関する内容は、2026年8月時点の公開資料をもとにしています。実際の指定基準や報酬、補助制度は自治体や事業形態によって異なるため、計画時には指定権者へ確認してください。

障害者グループホームは儲かる?結論は「条件次第」

障害者グループホームは、適切な事業計画を立てて運営できれば、利益を確保できる可能性があります。ただし、開設すれば自動的に利益が出るわけではありません

特に重要なのは、利用者の稼働率、人員配置、職員の採用状況、建物や資金計画、請求管理です。報酬単価だけを見て、事業の採算性を判断することは避けましょう。

収益を左右する要素 確認する内容
利用者の稼働率 定員に対して何人が継続利用する見込みか
サービスの類型 どの程度の支援体制が必要か
人件費 日中・夜間の職員配置にいくらかかるか
建物・資金計画 建築費、賃料、借入返済、修繕費が適切か
請求・加算の管理 算定要件を満たし、減算や返戻を防げるか

たとえば、定員6名のホームで利用者が4名しかいない場合、サービス提供による収入は定員6名を前提にした場合より減少します。しかし、夜間職員の配置費や建物にかかる固定費は、利用者が2名減ったからといって同じ割合で減るとは限りません。

そのため、障害者グループホームが儲かるかどうかは、1人あたりの報酬だけでなく、満室に近い状態を維持できるか、必要な支援に対して職員を確保できるか、建物費を抑えられるかによって変わります。

厚生労働省の調査から見る障害者グループホームの利益率

厚生労働省が公表した「令和6年度障害福祉サービス等経営概況調査」では、共同生活援助の平均収支差率は、令和5年度が5.0%、令和6年度が6.1%でした。

この数字は調査対象事業所の平均値であり、すべての事業所に適用できる利益率ではありません

地域、定員、利用者の支援区分、サービス類型、建物の所有形態、人件費などによって、実際の収支は変わります。

また、収支差率は事業所の収入と支出の差を示す指標です。土地所有者が受け取る賃料収入の利回りや、借入金の返済後に手元に残るキャッシュフローとは異なります。

参照元:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等経営概況調査」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001475550.pdf)

運営者と土地所有者では「利益」の意味が異なる

障害者グループホームでは、運営者と土地・建物の所有者が同じ場合もあれば、別々の場合もあります。

運営者の場合は、障害福祉サービス等報酬や利用者から適切に受け取る費用から、人件費、建物費、光熱費、管理費などを差し引いた金額が事業上の利益です。

土地所有者が建物を建てて運営事業者に貸し出す場合は、主な収入は賃料です。建築費の返済、固定資産税、修繕費、保険料などを差し引いた後に、どれだけ手元に残るかを確認します。

運営者の利益率と土地所有者の利回りは別の指標です。運営者側の収支だけでなく、建物所有者側の資金計画も分けて確認しましょう。

障害者グループホームのビジネスモデルとは

障害者グループホームは、障害のある方が地域で共同生活を送る住居です。事業者は住居を用意し、相談、食事、入浴、服薬、金銭管理など、利用者の状態に応じた生活支援を提供します。

厚生労働省は、共同生活援助について、夜間や休日に共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行うサービスと説明しています。

参照元:厚生労働省「サービスの体系」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/taikei.html)

基本的な収入の流れは、次のようになります。

  1. 事業者が住居と支援体制を用意する
  2. 利用者に対して共同生活援助を提供する
  3. サービス提供実績に応じて障害福祉サービス等報酬を請求する
  4. 利用者から家賃、食材料費、光熱水費などを適切に受け取る
  5. 人件費や建物費などを支払い、残った金額が事業の収支となる

障害者グループホームの3つのサービス類型

共同生活援助には、介護サービス包括型、日中サービス支援型、外部サービス利用型の3つの類型があります。サテライト型住居は、これらとは別に、本体住居から支援を受ける住居形態です。

3つのサービス類型によって、支援内容と必要な人員配置が異なります。どの類型が最も儲かるかを単純に比較するのではなく、地域の利用ニーズや職員体制と合わせて検討します。

類型・形態 特徴 収支を考える際の注意点
介護サービス包括型 主に夜間や休日に生活支援を行う 日中の過ごし方と夜間支援の体制を整理する
日中サービス支援型 日中を含めて支援を行う 職員配置が厚くなり、人件費を確認する必要がある
外部サービス利用型 外部の介護サービス事業者と連携する 外部サービスの利用費と自事業所の支援範囲を整理する
サテライト型住居 本体住居とは別の住居で生活する 本体住居との距離、緊急時対応、支援方法を確認する

参照元:厚生労働省「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001662271.pdf)

自ら運営する場合と運営事業者に貸す場合

障害者グループホームの運営方法には、土地・建物の所有者が自ら運営する方法と、建物を運営事業者に貸し出す方法があります。

自ら運営する場合は、サービス提供による収入を得られる一方、採用、教育、利用者支援、請求事務、事故対応などの運営業務を担わなければなりません。

運営事業者に貸し出す場合は、運営業務を担わずに賃料収入を得る契約形態もあります。ただし、賃料、契約期間、修繕負担、契約終了時の扱い、事業者の経営状況などを契約前に確認する必要があります。

障害者グループホームの収入と支出

中心となる収入は障害福祉サービス等報酬

運営者の中心となる収入は、利用者に提供した共同生活援助に対する障害福祉サービス等報酬です。

報酬は、サービスの類型、利用者の状態、地域区分、提供した支援、取得できる加算などによって変わります。報酬単価や算定要件は改定されるため、古い記事の単価をそのまま事業計画に使うことは避けてください。

参照元:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00013.html)

報酬を見積もる際は、次のような項目を確認します。

加算は、取得できれば利益が増えるという単純なものではありません。必要な職員配置や記録、研修、連携体制を整えたうえで、要件を満たしている場合に算定するものです。

家賃・食材料費・光熱水費は適切な管理が必要

利用者からは、家賃、食材料費、光熱水費、日用品費などを受け取る場合があります。

食材料費などの残額を、そのまま事業者の利益にできるわけではありません。実際の費用に対応させ、利用者や家族に内容を説明し、適切に精算する必要があります。

厚生労働省のガイドラインでも、利用者から受け取る費用について、項目や金額を明確にし、説明と同意を得ることが示されています。

家賃についても、建築費や修繕費、維持管理費、周辺の家賃相場、公的助成の有無などを考慮して設定します。家賃を高く設定すれば利益が増えるとは限らず、地域の相場からかけ離れると利用者確保に影響する可能性があります。

参照元:厚生労働省「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001662271.pdf)

大きな支出は人件費と建物関連費

主な支出には、次のようなものがあります。

人員配置は、サービス類型や利用者の状態によって異なります。少人数のホームであっても、夜間支援や緊急時対応のための人員が必要になる場合があり、利用者数が少ないからといって人件費も同じ割合で減るとは限りません。

建物を計画する際は、設置基準だけでなく、職員が見守りやすい間取り、避難経路、消防設備、バリアフリー、近隣環境なども確認します。

建物完成後の手戻りを減らすため、設置基準を先に確認しておきましょう。

障害者グループホームの利益率を計算する方法

基本的な利益率の計算式

利益率は、一般的に次の式で計算します。

利益率(%)=利益 ÷ 売上 × 100

ただし、何を利益とするかによって結果は変わります。

指標 計算の考え方 用途
営業利益率 本業の売上から運営費を差し引く 事業そのものの採算を見る
経常利益率 営業利益から借入利息なども考慮する 経営全体の収益性を見る
キャッシュフロー 現金収入から現金支出を差し引く 借入返済が可能か確認する
土地所有者の利回り 賃料収入から建物関連費を差し引く 土地活用として判断する

障害者グループホームを運営する場合は、営業利益率だけでなく、借入返済後のキャッシュフローも確認しなければなりません。

収支シミュレーションの基本項目

月間の収支は、次のように組み立てます。

月間収入
= 障害福祉サービス等報酬
+ 算定可能な加算
+ 適切に管理する利用者負担・実費等

月間支出
= 人件費
+ 建物費・賃料・借入返済
+ 光熱費・食材費
+ 修繕費・保険料
+ 管理費・採用費・その他経費

さらに、次の3パターンで試算すると、事業の弱点を把握しやすくなります。

たとえば定員6名の場合、利用者が6名なら稼働率は100%です。5名なら約83.3%、4名なら約66.7%になります。

サービス提供による収入は利用者数に応じて変動しますが、人件費や建物費などの固定費は大きく変わらないことがあります。

この差が大きいほど、利用者が1名減ったときに利益率が下がりやすくなります。そのため、損益分岐点となる利用者数を事前に計算しておくことが重要です。

「利益率」と「利回り」を混同しない

土地活用として障害者グループホームを建設する場合は、運営事業の利益率と、土地・建物への投資利回りを分けて考えます。

運営事業者が月額賃料を支払う契約であっても、土地所有者には建築費の返済、固定資産税、修繕費、保険料などが発生します。

表面上の賃料収入だけではなく、次の項目を差し引いて判断します。

「高利回り」「安定収入」「空室リスクがない」といった表現だけで判断せず、具体的な金額と契約条件を確認してください。

障害者グループホームが儲からない主な理由

利用者を確保できず稼働率が上がらない

障害者グループホームでは、利用者数がサービス提供による収入に大きく関係します。開設前に利用希望者や相談支援事業所、医療機関、自治体などへの確認を行わず、建物を先に用意すると、開設後に空室が続く可能性があります。

地域によっては、障害福祉計画上の必要量、対象となる障害特性、既存施設の数、利用者が希望する立地や支援内容が異なります。

営業活動だけを強化するのではなく、どのような利用者を受け入れ、どの支援を提供するホームなのかを明確にすることが大切です。

職員を採用できず人件費が膨らむ

夜間支援を含む職員を安定して確保できなければ、勤務の偏り、時間外勤務、派遣費用、採用費用が増える可能性があります。

採用できたとしても、障害特性への理解や緊急時対応の研修が不足していると、離職や事故につながる可能性があります。

事業計画では、最低限必要な人員だけでなく、休暇、欠勤、退職、研修を考慮した勤務体制を検討します。

建築費や借入返済が重くなる

新築の場合は、土地代だけでなく、本体工事費、設計費、申請費、消防設備費、外構費、家具・備品費などが発生します。

建築費が高くなりすぎると、利用者を確保できても借入返済が収入を圧迫します。既存物件を活用する場合も、用途変更、改修、消防設備、バリアフリー工事などの費用を確認する必要があります。

建物計画は、収入予測から逆算して、無理のない投資額に抑えることが重要です。

請求ミスや制度変更によって収入が減る

障害福祉サービス等報酬は、制度改定や通知の変更によって内容が変わる可能性があります。

加算の要件を満たしていない、必要な記録が残っていない、職員配置が基準を下回っているといった場合には、減算や返戻が発生することがあります。

毎月の請求前に、利用実績、人員配置、支援記録、加算要件を確認できる管理体制を整える必要があります。

開設・建設前に確認したい5つの条件

1.地域に利用ニーズがあるか

厚生労働省のガイドラインでは、新たに共同生活援助を始める場合、市町村の障害福祉計画や地域のニーズを確認することが重要とされています。

計画地周辺で利用者を確保できるかを、開設前に確認しましょう。

全国の市場規模だけを見て判断するのではなく、計画地周辺で利用者を確保できるかを調べます。

参照元:厚生労働省「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001662271.pdf)

2.サービス類型と支援対象を決める

介護サービス包括型、日中サービス支援型、外部サービス利用型では、必要な支援体制や人員配置が異なります。

報酬の大きさだけで類型を選ぶのではなく、受け入れる利用者の状態、職員の採用可能性、日中活動先、夜間対応の方法を整理したうえで決定します。

支援対象を広く設定しすぎると、職員に求められる知識や対応力が増え、運営体制の検討が難しくなる可能性があります。

3.土地・建物・消防設備の条件を確認する

計画地が決まったら、用途地域、建築基準、接道、避難経路、消防設備、近隣環境を確認します。

土地の価格だけでなく、上下水道、造成、駐車場、外構、既存建物の改修なども費用に含めて試算します。

まずは用途地域や既存建物の条件を確認し、建築可能性を整理しましょう。

また、自治体や消防署への事前相談を行わずに設計を進めると、後から間取りや設備の変更が必要になる場合があります。

消防設備の設置条件は建物や利用者の状態によって変わるため、所轄消防署への確認が必要です。

4.補助金を前提にしすぎない

障害者グループホームに関する補助制度は、自治体や年度、対象工事、申請時期によって内容が異なります。

補助金が採択されなかった場合でも事業を継続できるよう、自己資金、借入金、建築費、運転資金を組み合わせて計画します。

自治体ごとの対象施設や申請時期を確認する場合は、建設・開業向けの補助制度を整理したページも確認してください。

5.満室・低稼働・人件費増加の3パターンで試算する

事業計画は、満室を前提にした1パターンだけでは不十分です。

少なくとも、次の3つを試算します。

それぞれについて、営業利益だけでなく、借入返済後の現金残高も確認します。

障害者グループホームの経営を安定させるポイント

利用者を第一にした支援体制をつくる

利用者の生活が安定し、家族や相談支援事業所から信頼されることは、長期利用や紹介を考える際の要素の一つです。

支援内容、費用、緊急時の対応、退去条件、医療機関との連携方法などを事前に明確にし、利用者や家族へ分かりやすく説明します。

利益を優先して受け入れ対象を広げすぎるのではなく、職員が対応できる範囲を明確にすることも重要です。

地域の関係機関と継続的に連携する

利用者の紹介は、相談支援事業所、医療機関、就労支援事業所、自治体などとの関係性が関係する場合があります。

開設前だけでなく、開設後も情報交換を行い、ホームの対象者、空室状況、支援可能な内容を伝えます。

地域との連携や運営状況の透明性を高めることは、利用者や家族が事業所を判断する際の材料になります。

参照元:厚生労働省「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001662271.pdf)

職員を採用・定着させる

人員配置を満たすだけでなく、職員が長く働ける勤務体制を整えることが必要です。

夜勤の回数、休暇の取りやすさ、研修、相談体制、記録の負担、緊急時のバックアップ体制などを見直します。

採用費用を抑えることだけを重視すると、短期離職によってコストが増える可能性があります。

建物を運営内容に合わせて計画する

建物は、基準を満たしているだけでなく、職員が利用者を支援しやすいことも重要です。

共有スペース、個室、職員の動線、夜間の見守り、避難経路、収納、バリアフリーなどを、想定する利用者と支援内容に合わせて検討します。

建設費を抑えながらも、後から大規模な改修が必要にならないよう、運営者や現場職員の意見を設計段階で反映します。

障害者グループホームの経営に関するよくある質問

障害者グループホームの経営は本当に儲かりますか?

利益を確保できる可能性はありますが、必ず儲かるとはいえません。

利用者の稼働率、人員配置、人件費、建築費、借入返済、報酬改定、請求管理などを含めて判断する必要があります。

障害者グループホームの利益率は何%を目標にすべきですか?

全国一律の目標利益率はありません。

厚生労働省の調査では平均収支差率が示されていますが、これは調査対象事業所の平均値です。自社の計画では、満室時だけでなく、低稼働時や人件費増加時でも資金繰りが維持できるかを確認してください。

土地所有者が運営しなくても開設できますか?

土地・建物の所有者と、障害福祉サービスを提供する運営事業者を分ける契約形態はあります。

ただし、賃貸借契約の内容や運営事業者の指定状況、賃料、修繕負担、契約終了時の扱いなどを確認する必要があります。運営事業者の収支が悪化すれば、賃料の支払いにも影響する可能性があります。

経営者本人に資格は必要ですか?

建物を所有するだけなのか、自ら指定事業者として運営するのかによって、確認すべき要件が異なります。

自ら運営する場合は、管理者、サービス管理責任者、世話人、生活支援員などの配置要件や、指定申請に関する要件を確認します。具体的な内容は自治体や指定権者へ相談してください。

まとめ:障害者グループホームは収支と運営体制を一体で考える

障害者グループホームは、障害福祉サービス等報酬を基盤に事業収入を得る仕組みです。しかし、開設すれば自動的に利益が出る事業ではありません。

儲かるかどうかを判断するには、次の点を確認することが重要です。

利益率の平均値だけを見るのではなく、地域の需要、支援内容、建物、職員、契約条件を組み合わせて収支を試算することが大切です。

土地活用として障害者グループホームの建設を検討する場合は、計画地の建築可否、建築費、想定賃料、契約期間、修繕負担、運営事業者の条件を個別に確認してください。

監修Sponsored by株式会社 新日本ビルド

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