障害者グループホームに必要な消防設備とは?

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障害者グループホームを建設する際は、入居者の安全を確保するため、消防法に基づく消防設備を計画する必要があります。主に確認する設備は、消火器、自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、スプリンクラー設備、誘導灯、避難器具などです。

ただし、すべての障害者グループホームに同じ消防設備が必要になるわけではありません。消防法上の用途区分、入居者の状態、建物の延べ面積・階数・構造、ほかの用途との併設状況などによって、必要な設備や設置条件が変わります。土地や建物を決定する前に、所轄消防署へ相談することが重要です。

障害者グループホームに必要な主な消防設備

障害者グループホームでは、火災の早期発見、初期消火、消防機関への通報、入居者の避難を支援するための消防設備を整備します。

主に確認が必要な消防設備は、以下のとおりです。

実際の設置義務は施設ごとに異なるため、 建設予定地や基本的な平面計画を検討する段階で、所轄消防署に確認する必要があります。

消防設備の基準を左右する6項ロと6項ハ

障害者グループホームとして共同生活援助を行う施設は、入居者の状態や施設の利用実態に応じて、消防法施行令別表第1の「6項ロ」または「6項ハ」に区分されます。

6項ロに該当する施設

6項ロは、主として火災時に自力で避難することが困難な方が入居する社会福祉施設などを対象とする区分です。

障害者グループホームでは、入居者の障害支援区分や認定調査の結果、避難時に必要となる支援の内容などを踏まえて判断されます。障害支援区分4以上の入居者の割合は判断の目安になりますが、区分だけで一律に決まるものではありません。

6項ロに該当する場合は、小規模な施設でもスプリンクラー設備などの設置対象になる可能性があります。ただし、入居者の状態や建物の構造、避難条件などによっては、設置を要しない場合があります。

6項ハに該当する施設

6項ハは、共同生活援助を行う施設のうち、6項ロに該当しない施設などが対象となる区分です。

6項ロと6項ハでは、消防設備の設置基準や防火管理者の選任基準などが異なります。施設名称だけでは判断できないため、 入居予定者の状態や運営方法を所轄消防署へ伝え、消防法上の用途区分を確認することが重要です。

障害者グループホームで確認する消防設備

必要となる消防設備は、用途区分や建物条件によって異なります。ここでは、障害者グループホームの建設時に確認する主な設備を紹介します。

消火器

消火器は、火災が拡大する前に初期消火を行うための設備です。設置の要否や必要本数、配置場所は、建物の用途、延べ面積、階数などに応じて決まります。

設置する場合は、厨房や共用部だけでなく、職員が火災を発見した際に使用しやすい位置を検討します。

自動火災報知設備

自動火災報知設備は、感知器が煙や熱を検知し、建物内に火災の発生を知らせる設備です。

夜間に少人数の職員で支援する障害者グループホームでは、火災を早期に発見し、通報や避難誘導を始めるために重要な役割を果たします。感知器の種類や配置は、居室、廊下、階段、厨房など、それぞれの用途に応じて計画します。

消防機関へ通報する火災報知設備

消防機関へ通報する火災報知設備は、火災が発生した際に消防機関へ通報するための設備です。

施設の用途区分や規模によっては、自動火災報知設備と連動して通報する仕組みが必要になります。設置の要否や連動方法については、消防設備業者と所轄消防署に確認します。

スプリンクラー設備

スプリンクラー設備は、火災による熱を感知して散水し、火災の拡大を抑える設備です。

特に6項ロに該当する障害者グループホームでは、延べ面積が小さい場合でも設置対象になる可能性があります。ただし、施設の入居者構成や建物の構造、避難条件などに応じた例外があります。

小規模な施設では、水道管に接続する特定施設水道連結型スプリンクラー設備を採用できる場合があります。ただし、建設予定地の水圧、水量、配管口径などによっては対応できないため、 土地の選定段階から給水条件を確認しておくことが大切です。

誘導灯

誘導灯は、火災や停電が発生した際に、避難口や避難する方向を示す設備です。建物の用途や規模、避難経路などに応じて、避難口誘導灯や通路誘導灯の設置を検討します。

避難器具

避難器具には、避難はしご、緩降機、救助袋などがあります。設置の要否や種類は、建物の階数、収容人員、避難階までの経路などによって判断されます。

入居者が器具を自力で使用することが難しい場合もあるため、設備を設置するだけでなく、職員が安全に避難を支援できる建物配置や動線を計画する必要があります。

スプリンクラー設備の設置義務はどのように決まる?

障害者グループホームにおけるスプリンクラー設備の設置義務は、施設の名称や延べ面積だけでは決まりません。

入居者の状態

消防法上の用途区分やスプリンクラー設備の要否を判断する際は、入居者の障害支援区分に加え、火災を認識できるか、避難を始められるか、介助なしで移動できるかなどが確認されます。

入居者の構成や状態は開設後に変わる可能性があります。入居者の入れ替わりや障害支援区分の変更によって施設の状況が変わった場合は、消防設備の要件も再確認する必要があります。

建物の延べ面積・階数・構造

消防設備の設置基準には、建物の延べ面積、階数、構造、居室のある階、避難口の位置なども関係します。

同じ定員の障害者グループホームでも、平屋と2階建て、戸建て型と共同住宅の一部を利用する場合では、避難条件や必要な消防設備が異なることがあります。店舗や事務所などを併設する場合は、複合用途の建物としての確認も必要です。

スプリンクラー設備を設置しなくてもよい場合

6項ロに該当する施設であっても、入居者の状態や施設の構造などが一定の条件に該当する場合は、スプリンクラー設備を設置しなくてもよいことがあります。

また、居室が避難階にあり、屋外へ直接避難できる開口部が設けられているなど、避難が容易な構造として認められる場合も、設置を要しない可能性があります。

ただし、 平屋であることや小規模であることだけで、スプリンクラー設備が不要になるわけではありません。 例外を適用できるかどうかは、入居者の状況、平面図、建物仕様などをもとに所轄消防署が判断します。

消防設備の設置基準に影響する建物条件

消防設備の設置基準を確認する画像

障害者グループホームの消防設備を計画する際は、定員や延べ面積だけでなく、建物全体の条件を確認する必要があります。

既存の戸建て住宅や共同住宅を障害者グループホームとして使用する場合も、住宅用の設備だけで基準を満たせるとは限りません。 用途変更や消防設備の追加工事が必要になる可能性を踏まえ、契約前に確認することが重要です。

消防設備以外にも、居室や共用部の設備、定員、人員配置など、障害者グループホームとして満たすべき基準があります。建物の計画を具体化する前に、消防法以外の設置基準もあわせて確認しておきましょう。

建設前に所轄消防署へ相談する理由

障害者グループホームの消防設備は、建物の間取り、給排水設備、電気設備、防火区画、避難経路と密接に関係しています。

建設計画が固まった後にスプリンクラー設備や自動火災報知設備、防火区画などの追加を求められると、天井、壁、配管、電気配線などの変更が必要になる場合があります。工事費が増えるだけでなく、開設時期にも影響しかねません。

そのため、 土地や建物の契約前、遅くとも基本設計の段階で、所轄消防署との事前協議を行うことが大切です。

相談する際は、次のような情報や資料を整理しておくと、協議を進めやすくなります。

障害者グループホームの建設と消防手続きの流れ

消防設備に関する確認は、建設工事が完了してからではなく、建設計画の初期段階から進めます。

消防署との協議だけでなく、建物タイプ、建築基準法上の用途、新築と既存建物活用の違いなども並行して整理する必要があります。消防設備を含めた建設条件の全体像を確認し、計画の手戻りを防ぎましょう。

建設予定地と事業計画を整理する

建設予定地、建物の規模、構造、定員、居室配置、入居予定者の状態、職員配置などを整理します。

共同生活援助の指定を担当する自治体の障害福祉担当部署にも相談し、設備基準や地域ごとの手続きを確認します。

所轄消防署と事前協議する

建設予定地を管轄する消防署に図面や事業計画を提示し、消防法上の用途区分と必要な消防設備を確認します。

入居者の状態が確定していない場合も、想定する入居者像を伝え、どのような条件で設備基準が変わるのかを確認しておくことが重要です。

消防設備を設計と見積もりに反映する

消防署との協議結果をもとに、スプリンクラー設備、感知器、受信機、通報装置、誘導灯などを設計へ反映します。

消防設備は電気工事、給排水工事、内装工事、防火区画などと関係するため、 設計者、建設会社、消防設備業者が情報を共有して計画を進める必要があります。

必要な届出を行う

消防設備を設置する場合は、設備や工事の内容に応じて、着工や設置に関する届出が必要になることがあります。また、建物の使用開始に伴う届出が必要な場合もあります。

必要な書類、提出者、提出時期、届出の名称は自治体の条例や工事内容によって異なるため、所轄消防署の案内に従います。

検査を受けて開設する

建設工事と消防設備工事が完了した後は、必要に応じて消防署による検査を受けます。検査で指摘があった場合は、開設前に是正しなければなりません。

消防署の確認とあわせて、共同生活援助の指定を担当する自治体による現地確認や申請手続きも進めます。

開設後に必要な消防設備の点検

消防設備は、設置後も正常に作動する状態を維持しなければなりません。消防法に基づく点検を行い、対象となる施設では、その結果を消防署へ報告します。

消防用設備等の点検には、主に次の2種類があります。

点検結果の報告周期は、防火対象物の用途によって異なります。 点検時期や報告の要否を消防設備業者と確認し、継続的に管理できる体制を整えましょう。

避難訓練と防火管理も必要

障害者グループホームの安全確保には、消防設備の設置だけでなく、火災を想定した避難訓練や日常的な防火管理も欠かせません。

消防法上の用途区分や収容人員などの条件によっては、防火管理者の選任や消防計画の作成・届出が必要になります。共同生活援助の運営基準でも、非常災害に備えた計画の作成、関係機関への通報・連絡体制の整備、定期的な訓練などが求められます。

避難訓練では、次のような点を確認します。

夜間の職員配置や入居者の障害特性を反映し、実際の運営状況に近い条件で訓練することが重要です。

入居者の状態が変わった場合は消防設備を再確認する

障害者グループホームでは、入居者の入れ替わりや障害支援区分の変更により、施設全体の避難困難性が変わることがあります。

入居者の構成が変わると、消防法上の用途区分やスプリンクラー設備の要否に影響する可能性があります。そのため、新たな入居者を受け入れる場合や、入居者の状態が大きく変化した場合は、消防設備の基準を再確認することが大切です。

判断が難しい場合は、入居者の状況を整理したうえで、所轄消防署と自治体の障害福祉担当部署へ相談します。

消防設備を踏まえた建設計画のチェックポイント

障害者グループホームの建設を進める際は、以下の項目を確認しましょう。

消防設備の追加工事や開設時期の遅れを防ぐためにも、建設計画の初期段階から確認を進めることが重要です。

スプリンクラー設備や自動火災報知設備などの整備費が、自治体の補助制度の対象になる場合があります。制度ごとに対象者、対象経費、申請時期が異なるため、工事の契約や着工前に確認しましょう。

まとめ

障害者グループホームに必要な消防設備は、6項ロ・6項ハの区分、入居者の状態、建物の延べ面積・階数・構造などによって異なります。

特にスプリンクラー設備は、給排水設備や間取り、建設費に影響する可能性があります。平屋や小規模な建物であっても一律に不要とは限らないため、個別の条件に基づく確認が必要です。

土地や建物を決定してから設備を追加することにならないよう、 建設計画の初期段階で所轄消防署へ相談し、必要な消防設備を設計と建設予算に反映しましょう。 障害者グループホームの基準に詳しい設計者、建設会社、消防設備業者と連携することも大切です。

監修Sponsored by株式会社 新日本ビルド

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