サ高住の建設費用と補助金
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を土地活用として検討する際、気になるのが建設費用と補助金です。サ高住は建物本体だけでなく、バリアフリー設備や消防設備、設計・申請、外構などにも費用がかかります。
一方、一定の要件を満たせば、国や自治体の補助制度を利用できる場合があります。
この記事では、サ高住建設に必要な費用と補助金について、土地オーナーが資金計画を立てる際に押さえておきたいポイントを解説します。
※補助制度に関する内容は、2026年9月時点の公開資料をもとにしています。補助率・補助限度額・募集期間・対象要件は年度や自治体によって変更されるため、実際に計画する際は最新の公募要領や自治体の情報を確認してください。
サ高住建設にかかる費用の全体像
サ高住の建設費用を考えるときは、建物本体の工事費だけでなく、設備・設計・造成・外構などを含む総事業費で考えることが大切です。
サ高住の建築費用の目安
サ高住は、バリアフリー構造や高齢者が利用しやすい設備などが求められるため、一般的な賃貸住宅とは必要な仕様が異なります。
当サイトの既存ページで紹介している建築費の参考目安は、以下のとおりです。
| 構造 | 建築費の参考目安 |
|---|---|
| 木造 | 1坪77万~100万円 |
| 鉄骨造 | 1坪80万~120万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 1坪90万~120万円 |
ただし、実際の費用は建物の規模・階数・構造・設備仕様・建設地域・地盤条件などによって大きく変わります。
坪単価だけで予算を決めず、計画する建物の条件に合わせて見積もることが重要です。
サ高住の建築費用に含まれる項目を詳しく確認したい方は、費用の記事をご覧ください。参照元:介護施設建設のススメ「サービス付き高齢者向け住宅の建築費用」(https://www.kaigo-kizuki.com/cost/sakoju.html)
建築費以外にも必要になる費用
サ高住の総事業費には、建物本体以外にもさまざまな費用が含まれます。
- 土地取得費
- 造成・地盤改良費
- 電気・給排水・空調などの設備工事費
- 消防設備やエレベーターなどの費用
- 設計費・各種申請費
- 解体費
- 駐車場や植栽などの外構費
- 家具・什器・備品費
土地をすでに所有している場合でも、敷地の状態によって造成や地盤改良が必要になる可能性があります。
そのため、サ高住の費用を検討するときは、建築会社から提示された本体工事費だけではなく、別途工事や諸費用まで確認しましょう。
サ高住建設で利用できる補助金
サ高住の建設・改修では、一定の要件を満たせば国の「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」による補助を受けられる場合があります。
令和8年度は制度が見直され、新築・改修について、原則として1戸あたり20㎡を超える面積相当の補助対象事業費に対して3分の1以内が補助されます。
参照元:サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局「令和8年度 サービス付き高齢者向け住宅整備事業 交付申請要領」(https://koreisha.mlit.go.jp/service/)
新築は1戸あたり最大150万円
令和8年度の新築事業では、住宅部分の補助率は3分の1以内で、補助限度額は1戸あたり150万円です。
また、ZEH相当水準とする場合は30万円/戸、車椅子使用者に必要な空間を確保した便所・浴室などを設ける場合は12万円/戸が、それぞれ補助限度額に上乗せされます。
ただし、「工事費の3分の1」と「戸数に応じた補助限度額」を踏まえて補助額が決まるため、150万円×戸数がそのまま支給されるとは限りません。
参照元:サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局「令和8年度 サービス付き高齢者向け住宅整備事業 交付申請要領」(https://koreisha.mlit.go.jp/service/)
改修は1戸あたり最大234万円
既存建物をサ高住へ改修する事業では、令和8年度の住宅部分の補助限度額は1戸あたり最大234万円です。
新築と同様、補助対象となる費用の範囲や建物・サービスの要件が定められています。
既に運営中のサ高住を改修する「既設改修事業」については別の補助メニューがあり、IoT機器の導入、車椅子使用者に対応する便所・浴室の改修、省エネ改修、防災減災対策などが対象になる場合があります。
参照元:サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局「令和8年度 サービス付き高齢者向け住宅整備事業 交付申請要領」(https://koreisha.mlit.go.jp/service/)
自治体独自の補助制度が利用できる場合もある
サ高住の補助制度は国だけとは限りません。自治体によっては独自の整備費補助を設けています。
たとえば東京都では、国のサービス付き高齢者向け住宅整備事業の補助を受けていることなどを要件として、サービス付き高齢者向け住宅の整備費を補助する制度があります。
令和8年度の東京都の制度では、新築住宅について建設費の10分の1、1戸あたり120万円を上限とする基本額などが示されています。
建設予定地によって利用できる制度や条件が異なるため、国の制度だけでなく都道府県・市区町村の制度も確認しましょう。
土地活用全体で利用できる制度を調べる場合は、建物用途によって異なる補助金も比較しておきましょう。
参照元:東京都住宅政策本部「サービス付き高齢者向け住宅等の供給」(https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kourei/service/116kouyutin)
補助金を使うとサ高住の費用はどれくらい変わる?
補助金を資金計画に反映するときは、補助率だけではなく「補助対象事業費」と「上限額」の両方を見る必要があります。
たとえば、令和8年度の新築事業で30戸を整備する場合、住宅部分の補助限度額だけを単純合計すると150万円×30戸=4,500万円です。
ただし、実際の補助額が4,500万円になるとは限りません。
令和8年度は、原則として各戸の20㎡を超える部分に相当する補助対象事業費が計算の基礎となり、その3分の1以内と、戸数に応じた限度額などを踏まえて補助額が決まります。
つまり、補助金を使った資金計画では、「総工事費から上限額をそのまま引く」のではなく、補助対象となる工事を分けて試算することが重要です。
参照元:サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局「令和8年度 サービス付き高齢者向け住宅整備事業 交付申請要領」(https://koreisha.mlit.go.jp/service/)
補助金の対象にならない費用もある
サ高住建設に必要な費用のすべてが、国の補助対象になるわけではありません。
令和8年度の交付申請要領では、サービス付き高齢者向け住宅として登録される建物や設備の整備費などを対象とする一方、用地取得費、造成・開発工事費、敷地外工事費、設計料、申請費などは補助対象外とされています。
そのため、土地を購入してサ高住を建設する場合や、大規模な造成が必要な土地では、補助金があっても自己資金や融資で賄う費用が大きくなる可能性があります。
資金計画を作成するときは、総事業費を「補助対象になる費用」と「補助対象にならない費用」に分けて整理しましょう。
参照元:サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局「令和8年度 サービス付き高齢者向け住宅整備事業 交付申請要領」(https://koreisha.mlit.go.jp/service/)
サ高住の補助金を利用するときの注意点
補助金を活用する場合は、建築計画と補助金の申請スケジュールを一体で進めることが重要です。
交付決定前に工事へ着手しない
国の令和8年度事業では、補助対象事業へ着手する前に交付申請を行い、交付決定を受ける必要があります。
交付決定前に工事へ着手した場合、原則として補助金は交付されません。
そのため、建築会社との工事スケジュールを決める前に、補助金の事前審査・交付申請に必要な期間を確認しておきましょう。
参照元:サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局「令和8年度 サービス付き高齢者向け住宅整備事業 交付申請要領」(https://koreisha.mlit.go.jp/service/)
年度ごとに補助内容と募集期間を確認する
サ高住の補助率・上限額・対象要件・募集期間は、年度によって変更されることがあります。
実際に令和8年度は、新築・改修の補助対象事業費や補助率、補助限度額、床面積などの要件が見直されています。
令和8年度の事業登録期間は2026年4月17日から9月25日までとされていました。新たに制度を利用する場合は、次年度を含め、計画時点の最新公募情報を確認してください。
参照元:サービス付き高齢者向け住宅整備事業事務局「令和8年度 サービス付き高齢者向け住宅整備事業 交付申請要領」(https://koreisha.mlit.go.jp/service/)
補助金を前提にしすぎない資金計画を立てる
補助制度は予算の範囲内で実施され、申請すれば必ず希望額が交付されるものではありません。
また、補助金の支払いまでには申請・工事・完了実績報告・審査などの手続きがあります。
そのため、補助金を自己資金と同じように扱わず、融資や自己資金も含めて資金繰りを考えることが大切です。
サ高住の費用は補助金を含めて早い段階から計画する
サ高住の建設では、建築費だけを見るのではなく、補助金の対象となる費用、対象外となる費用、自己資金、融資まで一体で考えることが重要です。
特に補助金を利用する場合は、建物の仕様や立地、運営方法によって満たすべき要件が変わります。計画が固まってから補助制度を確認すると、設計変更やスケジュール変更が必要になる可能性もあります。
土地活用としてサ高住を検討している場合は、土地条件や想定する規模を踏まえ、建設会社・設計者・運営事業者などと早い段階から費用と補助制度を確認することが大切です。
無理のない資金計画を立てたうえで、サ高住としての土地活用を検討しましょう。
資金計画を具体化する前に、サ高住に求められる建築・設備の条件も確認しておくと、必要な工事範囲を整理しやすくなります。
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